5. ファンダメンタル分析
企業の業績・財務から「いま株価は割安か割高か」「成長性はあるか」を判断する分析手法です。
5.1 まず読みたい3つの財務諸表
- 損益計算書(P/L):1年間にいくら稼いだか(売上 → 利益)
- 貸借対照表(B/S):いま会社が何を持っていて、いくら借りているか
- キャッシュフロー計算書(CF):実際の現金の出入り
「儲かっているのに倒産」する黒字倒産は、PLは黒字でもCFが回らない状態。PLとCFの両方を見るのが鉄則です。
5.2 必ず押さえたい5指標
① PER(株価収益率)
PER = 株価 ÷ 1株あたり純利益(EPS)
株価が「利益の何年分」かを示します。日本株の平均は約15倍。20倍超は割高、10倍未満は割安の目安ですが、成長期待が高い銘柄は30倍・50倍にもなります。
② PBR(株価純資産倍率)
PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)
会社が解散したときに残る純資産に対して株価が何倍か。1倍未満は「解散価値割れ」とされ、東証も改善要請を行っています。
③ ROE(自己資本利益率)
ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
株主が出した資金でどれだけ利益を稼いだか。日本企業の目安は10%以上。継続的に高いROEを維持できる企業は「優良企業」と評価されます。
④ 配当利回り
配当利回り = 1株配当 ÷ 株価 × 100
株価に対していくら配当がもらえるか。3%超で高配当銘柄と呼ばれます。ただし「業績悪化で株価が下がっただけ」のケースもあるので、利回りだけで飛びつかないこと。
⑤ 自己資本比率
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100
会社の財務の健全性。40%以上で安全圏、60%超なら超優良。低すぎると不況に弱い体質と判断されます。
5.3 指標の使い方の落とし穴
⚠️ 業種で平均値が違う
銀行・不動産は低PBR、IT・バイオは高PER高PBR。同業他社比較と過去の自社平均との比較が基本です。
5.4 成長性を測る指標
- 売上高成長率:直近の数四半期で連続増収しているか
- 営業利益率:営業利益 ÷ 売上高。10%以上が目安、20%超は超優秀
- EPS成長率:1株あたり利益が伸びているか
5.5 決算書のチェックポイント
- 増収増益か:前年同期比で売上・利益ともに増えているか
- 通期予想の進捗率:通期計画に対して進んでいるか(決算月数で割って判断)
- 業績予想の修正:上方修正は強気のサイン、下方修正は警戒
- 営業キャッシュフロー:マイナスが続くと危険
- 有利子負債:自己資本に対して大きすぎないか
5.6 配当性向と総還元性向
配当性向 = 配当総額 ÷ 純利益 × 100。30〜50%が一般的な目安。100%超は無理をして配当を出している可能性。
総還元性向は配当 + 自社株買いを含めた還元率。最近は自社株買いで還元する企業も増えています。
5.7 経済指標とマクロ分析
個別企業の業績だけでなく、市場全体の方向を決めるマクロ指標も重要です。
- GDP成長率:景気の方向
- 消費者物価指数(CPI):インフレの強さ
- 政策金利:日銀・FOMCの動向
- 失業率・雇用統計:景気の温度感
- 為替(USD/JPY):輸出企業の業績に直結
5.8 情報ソース
- 会社のIR資料(決算短信・有価証券報告書・決算説明資料)
- 会社四季報:年4回発行の名物データブック
- EDINET:金融庁の有報・四半期報告書の公開システム
- 証券会社のアナリストレポート
まとめ
- PER・PBR・ROE・配当利回り・自己資本比率の5つを覚える
- 業種や時代背景で「適正値」は変わる
- 決算書はPLとCFを必ずセットで見る
- マクロ指標で市場全体の方向感を把握する